大学を目指している高校生を指導すると、その無計画さに驚くときがあります。
大学受験の成功には、どうしても綿密な学習計画が必要なのに、ただの思いつきで勉強しているような感じです。
でも中には成績をみるみる上げる生徒さんもいて、そんな子たちは決まって勉強に計画性があります。
大学受験だけではありませんが成果を上げられるひとは計画を立てるのが上手です。
あなたは計画的に勉強できていますか?
もしそうでなかったら今すぐ始めましょう。
これまでパッとしない成績だったとしても、計画的な勉強ができるようになれば、びっくりするような結果を叩き出せるかもしれません。
目次
タイムマネージメントとしての勉強計画
ここでの計画は、本来ならタイムマネージメントと呼ぶべきものです。
タイムマネージメントという言葉は、ビジネスの場面でよく使われます。
必ず結果を出さなければならないビジネスの世界では時間管理は必須です。
受験勉強だって結果を出さなければ意味がありません。
その意味では受験勉強も未来のための大きなビジネスといえるでしょう。
ビジネスとして受験勉強とは、志望校に合格するための作業量を前もって正確に把握し、それをスケジュールどおりに完遂することです。
そうすれば自ずと期待する結果が得られるはずです。
ここではタイムマネージメントとしての勉強計画を紹介します。
勉強のスケジュールを立てる大切さを知ろう
1日は24時間しかなく、1年は365(366)日しかありません。
これは誰にでも平等に与えられた、時間という資源です。
無駄に使っても有意義に使っても同じ時間なら有意義に使うべきですよね。
計画を立てないと自分の能力の半分も活かせません。
その逆に、しっかりとした計画を立てれば、今まで以上の力を発揮することだって可能なのです。
計画は社会に出ても役に立つ
社会人になって働くようになれば、自分のために使える時間の少なさを痛感するに違いありません。
高校生だって何かと忙しく、時間があっという間に過ぎてしまう感じでしょうが、社会に出て働くようになると、あの頃は十分に時間があったんだと気づくようになります。
そうです。今だったら時間はあるのです。
今ある時間を将来のために使えば、大人になってから始めるよりもずっと容易に成功に近づけるようになります。
それに計画を立てるスキルは、社会に出てからも必ず役に立ちます。
計画を立てると能力やスキルも上がる
計画が作れるようになると時間管理ができるようになるだけではありません。本来持っている能力やスキルも向上します。
どれだけの時間でどれだけのことが成し遂げられるのかを知れば自分の能力を客観的に判断できるようになります。すると自分の能力を今まで以上にアップさせようとする意識が自然と生まれるようになります。
その意識が能力向上に導くのです。
それでも高校生は忙しい
受験を成功させるには勉強する時間を積極的に作り出さなくてはなりません。そうでなければ日々の生活に流されてしまいます。自分の生活を見直してみましょう。今の忙しさって一体何なんでしょうか。
学校の課題で忙しい
自分の受験勉強をしたいのに、学校から課される宿題がそれを邪魔していたりしませんか?
受験意識が高い学校だったら学校側が生徒の自主性に任している場合が多いので問題ありませんが、そうでない学校だと宿題を出さなければ受験勉強さえしない子たちのために学校側が受験勉強の課題を課している場合があります。
受験勉強はひとりひとり違うものですから、学校で一律に行うものではありません。しかし、それが自分の評価点に影響するのならば完全に無視するわけにもいきません。
学校で課される課題を自分なりにアレンジしてみたり取捨選択したりする必要が生じます。学校の課題にどれだけ時間を使わなくてはいけないのか、または、その影響を最小限にするような戦略的な計画が必要です。
部活が忙しい
高校生活を充実させる部活動ですが、受験勉強を行うときには勉強と部活のメリハリつける必要があります。
一生懸命に部活動を行っている人たちは受験勉強に費やす時間が限られているかもしれません。その短い時間を有効に使うためにも計画が必要です。
サッカーや野球など、はげしい運動系の部活動では、日々の練習のあとで机に向かうのは大変です。たとえば夕食のあと強い眠気に襲われませんか?
それに打ち勝つ工夫をしなくてはなりません。
例えば、頭がすっきりしていないと進まない勉強は、早起きして朝学校に行く前に済ませてしまい、家に帰ってからの勉強は、少し眠気があっても続けられる好きな科目にするなど、1日の中でその時間帯に合った勉強内容を考えます。
ともだち付き合いが忙しい
どんな友達でも遊びに誘われると断りづらいものです。
本当の友達なら事情をよく理解してくれて「受験が終わるまでは遊べない」と率直な頼みも聞いてくれるでしょう。また、そのような友達なら受験勉強中に励まし合って気持ちを強く持ち続けられるようになるかも知れません。
しかしそれほどでもない遊び友達には悩まされます。
目標達成のために受験が終わるまでは遊び友達との関係を断ち切るくらいの覚悟が必要です。
受験勉強が終われば、いくらでも交流が可能なのですから。
遊びに忙しい
勉強を始めた10分後、思わずコミックに手が伸びてしまう、なんてことありませんか?
ゲームであれコミックであれ、それに費やす時間は自分にとっては大切な時間ですから、みずからの意思でそれらを省くのは意外と大変です。
これらは可能であれば断絶するべきです。受験勉強は永遠には続きません。それが終わってから娯楽を復活させるほうがいいのです。
もっともゲームでもコミックでも娯楽以上の意味が自分にある場合には必要最低限で予定に組み込むのは構いません。
そんなひとだっていますよね。それは否定できません。
目標達成のために忙しい
今の生活を変えずに目標を達するための時間を作り出そうとすると、その少なさにびっくりするかもしれません。
そして実際に必要な時間と言えば、その2倍も3倍も必要なのです。
一般入試の準備だけでなくAOや推薦入試の準備も必要です。
スポーツや資格など勉強以外のスキルを身に付けなければならない人いるでしょう。
このように将来の自分に対する準備は、なにも勉強に限りません。
いろいろと準備をしなくてはならないのです。
優先順位をつけて時間の有効活用
こんなにも日々の高校生活が忙しいのですから、積極的に時間を作り出す努力をしなくてはなりません。そうしないと今の生活に飲み込まれてしまいます。
受験勉強は人生において大きな転換期です。これを逃したらその後の人生が大きく変わってしまう人もいるでしょう。
そのためには優先順位をつけなくてはなりません。
受験生だったら最も優先するべきは大学入試のための準備です。
それを中心に据えて全体を見渡しましょう。
目標達成のための鉄則10
① 時間ではなく内容を管理する
スケジュールというと時間の管理に目が行きがちです。しかし計画は勉強の成果で作るべきです。
「今日は10時間勉強するぞ」と計画するよりも「今日は二次方程式をものにするぞ」と目標を立てるのです。
そして計画がうまくいったらその理由、うまくいかなかったらその改善点を常に考えます。同じ成果が得られるのであれば、より少ない時間でできる方法を考えるのです。
② 勉強内容をタスク化する
例えば大学合格という目標があったとき、それを実現するためにはいろいろな勉強をこなさなければならないでしょう。
まずは受験科目。英語と国語と数学など受験に必要な科目があります。
そしてそれぞれの科目ごとに、やらなくてはならない項目があります。
英語だったら次のようなものが考えられます。
文法を知る
読解力をつける
リスニングの練習をする
そして、それぞれをさらに細分化していきます。このとき、ひとつひとつの作業量がほぼ同じになるようにします。
文法を知る … セクション数20(時制、不定詞、仮定法など)
読解力をつける … 問題集のページなど
リスニングの練習をする … 練習単位の数30個
ひとつひとつの項目をタスクと呼びます。ひとつのタスクは、できるだけ小さく、そしてそれぞれのタスクは作業量が均一となることが大切です。
たとえば英文法なら、よく受験勉強に使われている参考書の「Next Stage」がありますが、あの例題ひとつを項目数にするという具合です。
ひとつのタスクをこなすのに必要な時間を算出します。実際の作業を行なってみて時間を調べるのです。
ひとつのタスクをこなす時間にタスク数をかければ必要な時間数が算出できます。このようにすれば勉強に必要な時間が比較的正確に把握できるのです。
③ 自分の能力を把握する
同じタスクをこなしても、それを活用できる能力は人それぞれに違います。
1回で覚えてしまう人もいれば、何度も繰り返さないと定着しない人もいます。
自分はタスクをどのくらいの頻度で何回繰り返す必要があるのかを把握しなければなりません。
④ 勉強法の効果と時間的なコストを知る
勉強にはいろいろな方法があります。
そしてそれらには向き不向きがあります。
優れた勉強法によって大幅に時間短縮できるかもしれませんし、プリミティブ(原始的)な方法でどうしても時間がかかってしまう作業もあります。
たとえば英単語を覚える際、スマホのアプリを利用して効率よく覚えられる人もいますし、ノートに何度も書き出さなければ覚えられない人もいます。
どの方法が最善であるかは各個人で違います。一見非効率的な方法に思えても、その作業の定着力が強ければ最終的には効率がよい場合だってあります。
使った時間とそれに見合うだけの効果が得られるのかどうか検討する必要があります。
⑤ 突発的なイベントを回避
いくら計画を綿密に組み立てても、突発的なイベントが多すぎたら予定通りにいきません。
これは何も外的な要因ばかりでなく、自分で引き起こしてしまうものも含みます。
つまり「サボる」というのも突発的なイベントです。
それをできる限り回避するようにします。
勉強を始めたらその作業が一段落するまでは手を緩めてはいけません。
⑥ ちょっと無理をする
「無理のない学習計画を立てよう」と言われたことがあるかもしれません。
しかしこれは嘘です。
なぜならば学習能力は進歩させなくてはならないからです。いまできる作業を消化するだけではダメなのです。
スポーツ選手を思ってください。記録やスキルをアップさせるには常に上を見て練習する必要があるはずです。
入試だって試験時間があり、その時間内に解く必要があります。
いま2時間かかってしまう作業を1時間で済ませられるように向上心をもって勉強を進めなければなりません。
だからといって、どうみても実現不可能な計画を立てるわけにはいきません。
ほんの少しだけ無理な計画を作るのです。
そしてそれを達成するように努力します。
そのかわり予備時間、予備日を作るようにします。
⑦ 予備時間、予備日を必ず作る
毎日が同じコンディションとは限りません。
調子の良ければ時間が余ったり、調子が悪ければ倍の時間がかかったりします。
この変動を吸収するために1日のうち1時間は予備時間を作るようにします。
この時間は、計画がうまくいったら自分のために、ご褒美として自由に使っても構いません。
しかし予定通りに行かなかった場合、この予備時間を使ってその日の予定を調整します。すこしだけ無理をする計画を立てた場合、この予備時間を使わなければ消化できないケースの方が多くなるでしょうが、このくらいがちょうどいいのです。
時間内に終わらせようと努力していると、いつの間にか予定時間で終われるようになっている自分に気づくでしょう。それは能力が確実にアップしている証拠となります。
予備時間を自由時間にできるように努力してください。そうすれば勉強の効率が上がっていきます。
そして1週間のうち1日は予備日として、その日は予定をいれません。
この予備日も一週間の計画が押している場合には利用します。最初のうちはどうしても予備日を使わなければ消化できないかもしれません。
1週間あると突発的にやらなくてはならないイベントが生じることもあります。たとえば突発的な学校の課題などです。
気分が乗らなくて、その日の勉強を無駄にしてしまうことだってあるでしょう。でも、そうなっても、くよくよしてはいけません。それを吸収するための予備日です。
だからといって最初から予備日をあてにして休んではいけませんよ。予備日はあくまでも予備日です。
このように計画を立てる場合は必ず緩衝のための時間帯を作り、隙間がないほどがちがちにはしないことが大切です。
そうしないと計画どおりにはいかないのです。挫折してしまいます。
緩衝時間を作ることにより計画通り勉強できるようになります。そして学習能力も向上していきます。
くれぐれも注意しておきますが予備時間を作るのは、決して勉強量を少なくする目的ではなく効率を上げていくためですよ。
⑧ 随時計画を見直す
計画は見直しが肝心です。これが計画の立て方で一番大切なことかもしれません。
矛盾するようなことを言いますが全てが予定通りにはいきません。
うまく行かなかったら計画を見直します。
そして量の問題なのかやり方の問題なのかを考えます。
量に問題があるのであれば実行可能な量にして全体を見直しますが、やり方に問題があるなら別な方法に切り替えます。
⑨ 人に聞く
うまく実行できないようなら人に相談しましょう。
大概はやり方に問題があるので、うまくできていそうな人に聞いてみてください。
たとえば問題集を解くのに時間が掛かり過ぎるようであれば、答えをみるタイミングを早めてみましょう。
タイマーで測って一定の時間が来たら躊躇なく答えをみます。その代わり、どうして解けなかったのか、その検討に時間を使います。
じっくりと考えるのも大切ですが、考える時間が無駄なときもあるのです。
⑩ 自分でできなければ人にやってもらう
計画を作るのが大変なら、他人に任せてしまいましょう。
たとえば、わたしのような家庭教師に頼めばいいのです。
わたしは受験生である生徒さんそれぞれに見合った計画をつくるようにしています。
あとは実行するだけです。
計画の必要性を知りましょう
受験勉強をするのなら予定を立てるのは必須です。
計画は時間の管理ができるようになるだけではありません。
自分の能力やスキルだって上がるのです。