受験勉強には暗記が必要です。
その攻略が受験の成否を大きく左右すると言ってもいいでしょう。
特に世界史や日本史、地理など、社会科目の勉強では、暗記は避けて通れません。
その暗記作業で活躍するのが蛍光ペンですね。
でも、この蛍光ペン、実はその使い方には大きな誤解があるのです。
正しい蛍光ペンの使い方を知って受験勉強の効率をあげましょう。
目次
蛍光ペンを使うメリットとデメリット
蛍光ペンは文字を目立たせるだけではなく、使い方によって様々な効果を生み出せます。
まずは蛍光ペンを使うメリットとデメリットを確認しておきましょう。
蛍光ペンを使うメリット
重要語句を目立たせる
蛍光ペンは本来、語句の上に塗ってそれを目立たせるのが目的です。
教科書や参考書では、もともと重要である語句は太字や色文字になっているため、あらためて蛍光ペンを付ける必要はないと主張する人もいるかもしれません。
しかし語句の重要度は個人ごとで変わってくるため、本来の太文字の上から新たに色を付けて、その語句をより強調する利点があります。
色によって意味を変えられる
重要語句と言ってもいろいろあります。
歴史で言えば事件名や人物名などですが、蛍光ペンを使い分ければ、その色によって語句をカテゴリに従って分けられます。
たとえば、赤は事件名、黄色は原因や結果、青は人物名など、自分なりの決まりを作って蛍光ペンを使い分けることができます。
目立たないものを目立たせる
教科書の欄外の注釈には案外テストに出る内容が小さな文字で書かれている場合があります。
そのような、目立たないけれど重要な語句を目立たせるために蛍光ペンを使うと、視線が自然とそこに行って見落としを減らせます。
蛍光ペンのデメリット
文章が読みにくくなる
蛍光ペンを使いすぎると、その印象が強すぎて文章が読みづらくなります。
目も疲れますし読んでいる内容が頭に入ってきません。
蛍光ペンの色によって視線が強制的に動かされてしまうのです。
これを避けるには蛍光ペンをつけるのは単語に限るなど全体のバランスを考える工夫が必要です。
逆に目立たなくなる
紙面全般に蛍光ペンを使ってしまうと覚えたい語句が蛍光色の中に埋もれてしまい逆にその語句が目立たなくなります。
これでは蛍光ペンを使う意味がありません。
語句を目立たせる場合は、蛍光ペンの使用度は紙面の2割ぐらいに抑えるべきでしょう。
間違ってつけると消せない
最近では消せる蛍光ペンもありますが一般的な蛍光ペンは1回付けると消せません。
蛍光ペンを間違えてつけてしまったら、その修正はとてもたいへんです。修正テープで語句とともに蛍光ペンも消して、その上から語句だけを手書きする、なんてことになってしまいます。
手や紙が汚れる
この頃はカラー印刷が多いので、その発色のためにツヤのある紙が多く使われています。
教科書の紙もツヤがありますね。
そのようなツヤのある紙に蛍光ペンを使うとインクの乾きが遅くなって手や紙を汚してしまいます。
つけただけで満足してしまう
蛍光ペンを使うと、それだけで勉強したような気分になってしまいます。
本当はそのあと暗記の練習が必要なのに、きれいに塗られた紙面を見て満足してしまうのです。
受験のための暗記とは
受験当日まで保てばいい
ひと口に「暗記」と言っても、その目的はいろいろです。
社会人だったら仕事のために長期間に渡って記憶を保持する必要があるでしょう。
しかし受験のためだったら受験当日まで知識が保てれば目的が達成できます。
効率よく短時間に大量に覚え、それを試験当日まで保持すればいいのです。
この目的にかなった暗記方法を行うべきです。
アウトプットのための暗記
受験のための暗記は、試験でのアウトプットを意識したものでなければいけません。
つまり丸暗記ではダメです。ひとつひとつの知識がバラバラでは意味がありません。それらが有機的に結びついている必要があります。
歴史の勉強をする場合、教科書に出てくる重要語句は歴史の流れに従って意味のある繋がりを持っているはずです。
その流れとともに重要語句が思い出されるようにしなくてはなりません。
蛍光ペンの使い過ぎは意味がない
たとえば歴史の勉強を教科書で行うとしましょう。
教科書は非常に情報の集約率が高いものなので書いてある内容すべてが重要事項と言ってもいいほどです。
教科書を最初に開いた頃は多くの出来事や人物名はまったくの初見でしょう。
そのため、もしその時期に蛍光ペンをつけるとなると、覚えなければならない語句ばかりなので、教科書の紙面は蛍光ペンだらけになってしまいます。
これでは蛍光ペンを使う意味がありません。
蛍光ペンの賞味期限
優先順位の高いものから蛍光ペンを付けていこうと決めたとします。
最初覚えるべき項目だった事件や人物名は、勉強が進むに従ってその重要度が低くなっていきます。
なぜなら学習が進むにつれて、それらを覚えてしまうからです。
覚えてしまったとき、蛍光ペンで色づけされた語句は、歴史での意味の重要度は変わらなくても、受験勉強での重要度は落ちていきます。
このように蛍光ペンを付ける効果は、ごく短期間しか保たないのです。それをひとことで言うと蛍光ペンには賞味期限があるということです。
何年も経ったあとに本を読み返してみると、そのとき重要だと思って付けたはずのアンダーラインやしるしが、その意味を失っているときがありますね。
蛍光ペンでつけたしるしは、時間の経過とともに付けた意味が無くなっていくのです。
受験のための蛍光ペンの効果的な使い方
ここまで述べてきたように、蛍光ペンを使うときには一般的な思い込みがあります。
つまり「蛍光ペンで一旦つけたしるしは永久に有効」という思い込みです。
受験勉強に蛍光ペンを使うには、その既成の思い込みに囚われず、蛍光ペンの特性をよく理解した上で効果的に利用するべきです。
それをまとめると、蛍光ペンは知識をインプットのためのツール作りには大胆に使い、教科書など何度も読み返すようなものには極力使わない方がよいということです。
蛍光ペンを使う目的は語句や図表を目立たせるためですが、それは長期間経ったあとで気づくためではありません。
蛍光ペンを使って語句や図表に色付けする、まさにそのときにこそ蛍光ペンの色付けの意味があるのです。
情報のインプットを行おうとして語句や図表の重要度を自らが判定し色付けすることによって頭の中に情報が整理されていくのです。
その特性を知って蛍光ペンを上手に使えば暗記力をアップさせることができます。
重要語句の意味
ここで何が重要語句であるのかについても考えておきましょう。
ここにも既成の概念による誤解が存在しています。
いわゆる重要な語句とは?
徳川家康は日本史の中で紛れもなく最重要人物のひとりです。
しかし小学校の頃から覚えてしまってしまっている名前ですよね。漢字だって大丈夫でしょう。
それが高校の教科書にまた出てきたからと言って徳川家康に蛍光ペンをつけるべきでしょうか?
重要な語句に蛍光ペンをつけるというルールならば徳川家康にだって蛍光ペンをつけるべきですが、これは意味のない付け方です。
その知識が頭の中に存在しそれが重要であると認識できていたらそれでいいのです。
覚える語句につける
では、まだ覚えていない語句にだけ蛍光ペンを付けるべきでしょうか?これにも疑問があります。
それは覚えなければならない語句は学習の進み具合によって変わっていくからです。
最初は覚えていない語句ばかりなので片っ端から蛍光ペンをつける羽目になってしまいますが、これでは蛍光ペン色の教科書を作るだけです。
語句を分類する
蛍光ペンには多数の色があるので、覚えなければならない語句をカテゴリに従って色分けできますが、しかし、これにも賞味期限があることを承知しておきましょう。
なぜなら一度覚えてしまえば、その語句によって自然とカテゴリ分けができるようになっているからです。
暗記学習のための具体的なヒント
試験対策を行うとき、たとえば教科書を使ってインプット学習を行いたいなら、そのまま読むための教科書と暗記用ツールとして利用する教科書の2冊を用意します。
読むための教科書は何も書き込まず、そのまま取っておきます。
そして、もう一冊の教科書は、段階を追って蛍光ペンや修正テープを使い暗記用のツールに作り変えていきます。
その暗記用ツールの作り方ですが、まず最初の段階では教科書の内容を確認しながら熟読します。その次に語句の重要度を考えながら蛍光ペンで色付けしていきます。この色を付けたという行為そのものに意味があるのです。語句を認識する力が高まります。
この時点で蛍光ペンを付けると大半が色づけされることになりますが、この場合はそれでかまいません。
なぜなら、あとで気付くために蛍光ペンを使っているわけではなく、暗記用のツールを作るために蛍光ペンを使っているからです。既成の用途で蛍光ペンを使っている訳ではありません。
このとき蛍光ペンは2色使います。赤を重要語句、黄色をその説明文となっている箇所につけます。
色を使い過ぎるのは良くありません。多くても3色が限度でしょう。
その2色の蛍光ペンで塗られた教科書でしばらく暗記練習をします。
その具体的な方法は次のとおりです。
暗記ツール用の教科書を見たとき、意識的に黄色だけを読もうとします。すると、それだけが浮かび上がって見えるようになります。
そして今度は赤に意識を移して、それに付随する重要語句を確認していきます。
赤は重要語句、黄色はその説明という認識になっているので、見ようとする色の意識を変えるだけで目に飛び込んでくる語句が変わってきます。
それが終わったら次は赤を意識的に見て、その語句を認識してから黄色で塗られた説明を頭の中で思い返します。
この作業を繰り返し行った後にまっさらな教科書を読むと、色はついていなくても自然と語句とその説明を意識的に区別して見られるようになります。
この時点では、もはや蛍光ペンをつけた暗記用ツールの教科書は不必要になっているはずです。
このように蛍光ペンはインプット練習をするツール作りに活きるのです。
受験勉強にとって蛍光ペンは、一旦つけたからと言って永遠に有効ではありません。
蛍光ペンは使わない道もある
ここまでは蛍光ペンの使い方を説明してきましたが蛍光ペンを全く使わないという選択肢もあります。
そもそも何が重要で何が重要でないのかと言う判断ができないうちに蛍光ペンを使ってしまうと色分けがグチャグチャになって意味がありません。
それよりも、まっさらな教科書を繰り返し読むことによって語句の重要度を判断できるように練習する方が優先順位が高いのです。
これは国語力の問題なのですね。
国語力はあらゆる勉強に先立って必要となる力です。
蛍光ペンには賞味期限がある
蛍光ペンをつけたときには確かに重要であったは語句は時間の経過とともにその重要度を失っていきます。
蛍光ペンには賞味期限があるのです。
その特性をよく知った上で蛍光ペンを効果的に使うようにしましょう。
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