【現代文】段落を要約できれば文章全体の要約ができる!

現代文の問題を解くためには問題文の内容を理解しなければいけませんが、そのために必要なのが要約です。

文章をそのまま暗記しても理解したことにはなりません。要約ができて初めて内容が理解できたと言えるのです。

長い文章をいっぺんに要約するのはとてもむずかしいですね。

でもふつう文章は段落に分割されているので、段落ごとに要約できるようになれば、それをつなげることによって文章全体の要約ができるようになります。

ここでは段落ごとの要約方法を説明します。

この方法を知ることで現代文を理解できるようになります。

要約力はすべての勉強で必要

要約力は自分の外側にある事柄を脳内にインプットするために必要な力です。

また自分の頭の中にある考えを相手に伝えるためにも要約力は重要です。

この要約力を鍛えるには文章の要約の練習がとても効果的です。

ここでは、現代文を解くための要約方法を説明しますが、それによって得られる要約力は、すべての勉強にとって有効な力となるでしょう。

現代文が得意と不得意はなにが違う?

現代文を教えるとき、わたしは生徒さんに読んだ内容を短くまとめてくれるように要求します。

すると現代文が不得意な生徒さんは書かれている内容をそのまま読んでしまって、少しもまとめになっていません

現代文が得意になればなるほど、文章の内容を短くまとめられるようになります。

また自分の意見を言える人は要約力がありますね。

ですから逆に要約力をつければ、人に向かって自分の意見をはっきり言えるようになれるかもしれません。

段落ごとの要約のポイント

段落の要約に必要なポイントを具体的に説明していきます。

最重要段落はどこか

現代文の問題を解くとき、一番初めの段落と一番最後の段落は最重要段落です。ここに作者の言いたい内容が凝縮している場合が多いのです。

最初の段落

最初の段落やそれに続く数段落には、これから議論していく問題提起が含まれています。ここをていねいに読み解くことによって、どの方向に話題が発展していくのか判断します。

最後の段落

また一番最後の段落は、作者の結論が含まれている場合が多いと言えます。この段落の内容が納得できれば、文章全体が正しく読めたことになります。

段落の役割

読んでいる段落が文章の中でどのような機能を持っているのかを考えながら読んでいきましょう。それが要約につながります。

段落の最初の文を読む

各段落の先頭の文はとても大切です。それを読むことで、その落の機能が判断できるからです。

例えば、具体的でわかりやすい話から始まっていれば、その段落は、前の段落の具体例になっているか、またはこれからの話題の導入になっている場合が多いでしょう。

逆に先頭の文が一読しただけでは分かりにくい抽象的な文であれば、その段落は、それまでの段落までのまとめか、またはその段落の説明がそれ以降の段落で展開されていくと思われます。

このように段落の先頭の文を読むことで、その段落を理解するための心構えを作ります。そして段落が文章全体においてどのような機能を持っているのか考えます。

特に段落の先頭に接続詞があれば、その段落の機能が前もって予想できます。

指示語の内容は常に確認する

「その〜」「これは〜」などの指示語の中身は常にはっきりとさせるように読みます。ここがあやふやのままで読み進めると最終的に何を言っているのか分からなくなります。

段落中で繰り返し出てくる語句に注意

段落の中で繰り返し出てくる語句は著者が強調したい主題である場合が多く、複数の段落を読み進めるときの基軸として働きます。

この言葉を「キーワード」と呼ぶことがあります。

現代文の理解は、この「キーワード」を芯にして理解を進めていく傾向にあります。文章内で「キーワード」をはっきりさせるために四角で囲むなどして目立つようにするとよいでしょう。

キーセンテンスを見つける

段落を要約する場合、段落の中でどうしても落とせない一文を探します。これをキーセンテンスと呼ぶときがあります。

キーセンテンスは段落の最初か最後にある場合が多いですね。

このキーセンテンスだけを要約すればその段落の要約なる場合もあります。

または段落中の複数のキーセンテンスをまとめなければならないときもあります。その場合は段落内の接続詞に注意してまとめます。

主語と述語をはっきりさせる

これは日本語の特徴ですが、長い文の場合、主語と述語との距離が遠くなり、一読しても何を言っているのか、よくわからなくなるときがあります。

そのような場合には途中の修飾語を外して主語と述語だけを読み、その後で修飾語を付け足すような読み方をしてみます。

注意してほしいのは、日本語の場合、主語が省略されていることも多いので、文の述語を先に決定してから主語がなにか考えます。

緩急をつけて読む

これは文章を読みなれている人は自然にできているのですが、文章全体を同一なスピードで読むのではなく緩急をつけて読みます。これができると文の理解度が高まります。

速く読む場所は理解しやすく、ゆっくり読む場所は理解に手間がかかる感じです。

そんなの当たり前と思うかもしれませんが、これを意識的にはっきりと行うのがポイントです。

ゆっくりし過ぎると文の流れが見えなくなりますし、早過ぎると内容がつかめません。

柔らかいものはすぐに飲み込んでも構わないが、硬いものはしっかりと咀嚼しなければいけない、というようなイメージです。

この緩急の差を意識的にかなりはっきりとつけます。一般的には次のような傾向にあります。

<具体と抽象>

具体的な内容は速く読み、抽象的な内容はゆっくり読みます。

<主語・述語と修飾語>

主語・述語はゆっくり読み、修飾語は速く読みます。

「早く読む」とは理解できなくてもよいという意味ではありません。早く読んでも理解できるという意味です。

それに対して「ゆっくりと読む」とはほんのちょっと立ち止まって考える感じです。そしてその文全体の内容を理解します。

接続詞に注意

接続詞には十分注意しましょう。

話し手からすれば、接続詞は、読者を目的地まで導いていくときのハンドル操作のようなものです。

聞き手は話し手のハンドル操作に忠実についていかなければなりません。

文章を読んでも、それが何を言いたいのか、さっぱりわからないというひとは、この話し手のハンドル操作についていけていない場合があります。

わたしが文章の内容を説明するとき、接続詞を強く意識させるように読むときがあります。

すると比較的スムーズに理解が進むのです。

この話し手のハンドル操作である接続詞の種類を把握しておいてください。

機能ごとに接続詞を整理しておきます。

対等な関係

これまで述べてきた内容と同じ内容を別な言い方で表します。

「このように」
「言い換えれば」
「つまり」
「例えば」
「すなわち」

比べる関係

これまで述べてきた内容を別なものと比べます。

「しかし」
「ところが」
「一方では」
「これに対して」

因果関係

これまで述べてきた内容の理由、または結果を表します。

理由>       
「なぜなら」
「というのも」
「その理由は」

結果>
「したがって」
「その結果」
「よって」

並べる関係

これまで述べてきた内容と同レベルな別なものを並べます。

「また」
「あるいは」

補う関係

これまで述べてきた内容に条件など付け加えます。

「ただし」

段落と段落間のつながりも同様です。読解力の訓練で、この接続詞の理解はとても重要です。

抽象後はあらかじめ勉強しておく

むずかしい文は抽象語が多く使われている傾向にあります。わかっているつもりになっていて、ほんとうはわかっていない抽象語ってあります。それらは事前に勉強しておきましょう。

まとめ

ここまで述べてきた段落の要約方法をまとめると次のようになります。

① 段落の機能を見極める。

前の段落と

・対等な関係
・比べる関係
・因果関係
・並べる関係

などの関係を見極めます。

② キーセンテンスを見つける

段落内の各文を緩急をつけて読み、どれがキーセンテンスか判断します。

または複数のキーセンテンスはひとつにまとめます。

③ 必要最低限の語句で要約する

キーセンテンスの

・主語と述語
・キーワード

を必要最低限の

・修飾語

を付け足してまとめます。

文章の要約が考えられるようになれば、その文章を理解したことになります。