【学習塾】集団指導と個別指、どう違う?オンラインの塾は?

子どもが中学生になったとき、学習塾に通わせようか、通わせるならどんな学習塾いいか、そもそも学習塾は必要なのか、やっぱり家庭教師がいいのか、いろいろ悩んでしまいますね。

それに今は、オンライン学習塾やオンライン家庭教師もあり、それらも含めて多種多様な補助学習の方法が選べる時代となりました。

学習塾や家庭教師に使う費用

文部科学省に次のような資料があります。

出典元:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」

青色で示された「補助学習費」とは、自宅学習や学習塾・家庭教師などの費用のことです。年間で23万円前後の補助学習費費用が支出されています。

このように少なからずお金をかけるのは、子どもにとって最良な補助学習の機会を与えてたいからですね。

塾にしろ家庭教師にしろ、子どもに合っていなければ意味がありません。意味がないどころか、悪影響を与えることだってあるのです。塾か家庭教師か、対面かオンラインか、それぞれの特徴を知って、子どもに最適な補助学習の方法を選びましょう。

大規模な学習塾

学習塾には大きく分けて集団指導と個別指導があります。

集団指導の塾とは、学校のように生徒を教室に集めて授業形式で指導するものです。その中でも全国的に名前が知られた大規模な学習塾は、一校あたりに在籍する生徒数が多く、学年やレベルごとに多数のクラスがあります。

大規模な学習塾のメリット

主要5科目すべてを教えてもらえる

主要5科目のどの教科も偏ることなく教えてもらえます。「英数国」や「英数」というように教科を狭めて受講可能な場合もあります。

授業の進む速さが一定

塾の授業は決まったカリキュラムに沿って進められるので包括的な内容の授業が期待できます。一般的に学校の授業よりも少し早いペースで進みます。

クラス分けがある

レベルごとに分けられたクラスがあるので、本人の学習レベルに合った授業が受けられます。

授業の質が高い

大手の塾で授業を任されている先生の質は概して高いと言えます。それは、塾が先生を採用する際は試験を実施しているので、一定以上のレベルが確保されているからです。

また、その先生は、受講する生徒によって授業の評価を受けています。質の低い授業をすれば、たちどころに評判を落としてしまいます。ですから塾の先生は手を抜けません。

独自のテキストが手に入る

大手の塾の場合、独自に編纂された総合的なテキストを使います。それは内容、量とも不足のないものです。定期テスト対策用や入試対策用など、その時々のニーズにあったテキストも用意されます。このテキストを手に入れられるだけでも大手の塾に入る価値はあるかもしれません。

課題が多く出される

塾の授業は一定のペースで進むので、それに付随した宿題もコンスタントに出されます。そのため宿題の総量は多くなります。家での自己学習が塾から出される宿題を消化するだけになりがちですが、しかし自分で学習する内容を考える必要がないので、それをやりこなすだけでも実力アップは期待できます。

ライバルを実感できる

大手の塾では小テストや実力テストが定期的に行われ、子どもたちは個人の実力の把握とともに他の子たちとの競争にさらされます。同じ塾でがんばっている子たちが刺激となり、自分もがんばろうというモチベーションが生まれます。

成績管理がしっかりしている

実力テストなどの結果はデータとしてまとめられます。そのため子どもの実力の推移を客観的に判断できます。

受験校のデータが豊富

身近な地域だけでなく広い範囲の受験に対して情報がしっかりしています。

大規模な学習塾のデメリット

スケジュールが決まっていて融通がきかない

塾を休んでしまうとその日に受ける授業の内容が飛んでしまいます。後でフォローしてくれません。また理解不足な単元があってもそのまま授業が進んでいきます。

ひとりひとりに目が届きにくい

大手の塾では1クラス20人から30人にもなり、ひとりひとりの理解度を考慮した指導ができません。

またクラスの入れ替えで先生が変わることもあるので、同じ先生とのコミュニケーションが希薄になりがちです。好きな先生にずっと教えてもらえないかもしれません。

質問がしにくい

教師との直接なコミュニケーションが少なくなりがちなので、子どもは質問するのにハードルを感じるでしょう。また先生は多忙なので、質問をしても十分な時間を割いてもらえないかもしれません。

送り迎えが必要な場合がある

塾までの距離や終了時間によっては塾までの送り迎えが必要となります。

比較的費用が高い

一般的に小規模な塾よりも大規模な塾の方が費用が高いと言えます。受験ともなると特別授業やテストが増え、それごとに費用がかかることもあります。

大規模な学習塾に向いている子ども

学校の授業についていける

学校の授業では物足りないか、少なくとも学校の授業についていけるだけの実力が必要です。また、レベル毎のクラス分けは、教科ごとではなく総合的な成績で行われることが多いので、得意科目と不得意科目の成績差が極端ではない方がいいでしょう。

競争のプレッシャーに強い

競争するのがたのしい、または競争のプレッシャーに負けない強い心が必要です。

自分で勉強できる

自分の力で塾の授業を理解しようとする努力が必要です。そして塾の授業についていこうとする忍耐力が必要です。

規律正しく行動できる

毎回の授業に規則正しく参加できなければなりません。体調不良になりやすかったり、やる気にムラがあると進度の速い授業についていけません。

小規模な学習塾

地域に根差した比較的小さな塾は、ひとクラス毎の生徒数が少なく、同じ塾内で知らない人がいないほどアットホームな雰囲気があります。

基本的に先生はずっと同じなので、教え方が変わって戸惑ってしまうようなこともありません。

小規模な塾のメリット

塾生ひとりひとりに目を配れる

少人数で授業が行われるので、ひとりひとりの理解度を把握しながら授業が進みます。

地域の学校の定期テスト対策に強い

通っている中学校の近くにある塾では、その学校の定期テストの傾向を把握しているので定期テスト対策が得意です。

地域の学校のテストや行事に合わせて授業ができる

学校で体育祭や文化祭がある期間は、塾での勉強がむずかしい場合だってあります。地域の小規模な塾は、そのような情報に精通していて、それに合わせた予定を考えてくれます。

家庭との連絡、コミュニケーションが豊富

塾と家庭との細やかなコミュニケーションがあるため、受験や進路など相談しやすい環境が提供されます。

特定の志望校に対して強みがある

特定の受験に対して強みを持つ塾があります。

小規模な塾のデメリット

カリキュラムが偏る

生徒の実力に従って授業が進むため、教えてもらえない単元が生じてしまう可能性があります。

客観的データに乏しい

子どもの実力を把握するための客観的な数値データが示されない場合があります。

授業の緊張感が薄い

塾生たちは仲間意識が強いためライバル心が育たちにくい傾向にあります。

知り合いが多すぎる

知っている人が周りが多いために、かえって勉強に集中できない子もいます。

よい塾を探すのがたいへん

基本的に小規模で良い塾を見つけるためには口コミ情報に頼ります。ですから、それが得られにくいと塾の良否の判断ができません。

小規模な塾に向いている子ども

競争や人と比べられるのが苦手

競争するのが苦手でマイペースの子は大規模な塾より小規模の塾に居心地のよさを感じるかもしれません。

勉強するたのしさを知りたい

成績優先ではなく、日々の小さな達成感を実感させたい場合は、熱心な塾長さんがいる小規模な塾がいいかもしれません。

知らない人が周りに大勢の中にいるのが苦手

小規模の塾では比較的ひとの出入りが少ないのでいつも顔見知りのひとといっしょに勉強できます。

個別指導方式の塾

「個別指導方式の塾」とは、ひとりの教師が3人以下の生徒を指導する形態です。

生徒さんは各ブースにいて、それぞれが別々の勉強しています。そして教師が定期的に巡回し指導します。教師が待機中には生徒側から先生に質問できます。

多くの場合、自主学習のためのスペースが確保されていて、個別指導の塾は、自学自習する環境の提供という側面があります。

個別指導方式の塾のメリットとデメリットは以下のようなものです。

個別指導方式の塾のメリット

自分のペースで進められる

自分が教えて欲しい科目、内容が勉強できます。

個別の質問がしやすい

自分が知りたい内容を質問できます。また自分が納得するまで何度も質問できます。

生徒ひとりひとりの個性に合わせられる

基本的にひとりごとに教えるので、その子に合った学習の進め方を実践できます。

個別指導方式の塾のデメリット

先生のクオリティーがまちまち

指導力が確かなプロの先生もいれば、アルバイトの講師もいるため、教えるクオリティーがまちまちです。

また、アルバイトの講師は入れ替えが激しく、同じ先生に教えてもらえないかもしれません。

ライバル心が育たない

他人と競争している意識にならないのでライバル心が育ちません。

目標を見据えたカリキュラムが成り立ちにくい

先生は生徒さんの質問に答えるだけなりがちなので、受験対策のように、目標に向かって総合的な指導ができない場合があります。

個別指導方式の塾に向いている子ども

自己学習ができる

先生が教えていないときは自分で学習しなければなりません。そのときは教科書や問題集を自分で開いて勉強ができる能力が必要です。

積極的に先生と対話できる

基本的に自分から教えて欲しいところを発信していく必要があります。ですから先生と積極的にコミュニケーションが取れた方が有利です。先生からしても質問が多い人に、より多く教えたくなるのは人情です。

家庭教師

学習補助の方法としては最も古い形態かもしれません。多くの場合、決まった時間をひとりの子どもだけのために費やします。

家庭教師のメリット

子どもに合った指導ができる

教える生徒さんのレベルにあった指導ができるだけでなく、その子の特性や性格を考慮した指導を行えます。

教えてもらう時間を都合に合わせてもらえる

自分が授業を受けやすい曜日や時間に授業を受けられます。また臨時でお休みにしたい場合は、比較的容易に別の日に変更してもらえます。

送り迎えがいらない

自宅に直接来てくれるので塾のような送り迎えが必要ありません。

幅広く指導

勉強ばかりでなく、勉強のやり方や目標の立て方、スケジュール管理など、幅広く指導してもらえます。また将来の目標など、人生の先輩としてのアドバイスをすることだってあります。

希望にそった指導ができる

「考える力を伸ばしてほしい」「基礎を確立してほしい」など親御さんの意向に即した指導が可能です。

親と子のコミュニケーションの円滑化

子どもの気持ちを親御さんに伝えたり、または親御さんの気持ちを子どもに代弁したり、親と子のコミュニケーションの円滑化にも役立ちます。

家庭教師のデメリット

先生の質に左右される

先生の指導力ばかりでなく、子どもとの相性によっても指導の成果に違いがあらわれます。

仲良くなり過ぎる

先生と生徒との距離が近いので、仲良くなり過ぎると、雑談が多くなったり、馴れ合いで厳格な指導ができなくなったりすることがあります。

家庭教師に向いている子ども

教えてもらう時間に変動がある

部活動や習い事など、他に予定が入りやすい場合は、教えてもらう時間をある程度任意に変えてもらえます。

勉強以外も教えて欲しい

勉強だけでなく、そのやり方も教えてもらえます。また将来の目標の立て方など、幅広く指導してもらえます。

家庭教師のすすめ

オンラインの塾

ネット環境が整った現代だからこそ可能になった、自宅にいながら高度な塾の授業が受けられる形態です。今後ますます増えていくと予想されます。

オンラインの塾にもいろいろありますが、ここではコンテンツを見るかたちで進められる通信制の塾を代表としてあげます。

オンラインの塾のメリット

コストパフォーマンスが高い

授業のクオリティーに対してかかる費用は格段に安くなっています。

集中力が続く

単元別に授業が細かく分かれていて、そのひとつひとつは比較的短い時間なので集中力を切らさずに学習できます。

先生の質が高い

レベルの高い先生の授業がオンライン上で提供されています。

どこでも質の高い授業が受けられる

ネット環境さえあれば、近くに塾が無い地域にいても質の高い授業が受けられます。

通塾する時間がいらない

自宅で受講することが可能なので、通塾する時間が省けます。

テキストはダウンロードできる

オンライン授業を受けるための費用さえ払えば、授業だけでなく、そのサイトで提供されているテキストや問題をダウンロードして利用できます。

オンラインのデメリット

ネット環境やデバイスが必要

パソコンやタブレット、またはスマホなどのデバイスと動画がストレスなく見られる通信環境が必要です。

ライバル心が育ちにくい

ほかの人を意識することがないので、ライバル心が育ちません。

コンスタントに進めにくい

授業を受ける時間を自分で決めなければならないので油断するとさぼりがちになります。

人間関係が育たない

塾や家庭教師では、人と人との「教える、教わる」の関係が体現できますが、オンラインでは、それがありません。

オンラインに向いている子ども

勉強に目的意識を持っている

何のために勉強するのか自分なりに目標設定ができ、他人に規定されなくても自ら計画を立てて実行する能力が必要です。

自分で計画的に進められる

オンライン授業はいつでも自由に受けられるので自主的にサイトにアクセスしなければなりません。

ひととのコミュニケーションが苦手

多数の人といっしょにいるのが苦手な子は、まわりの人に乱されることなく勉強できます。

自由な時間に勉強したい

決まった時間から勉強を始めるのが困難な人、または苦手な人は、好きな時間から始められます。

隙間時間を有効利用できる

ひとつのコンテンツは区切りながらでも見られるので、ほんの5分もあれば勉強時間に使えます。通学途中の電車の中でさえ勉強することが可能です。

集中力が続かない

長い時間に集中して授業を受けるのが苦手ならば、途中で止めて休みながら少しずつ授業を進められます。

まとめ

このように昨今では他種多用な学習補助の方法があり、それごとメリットとデメリットがあります。また子どもの性格や目標によっても最良の学習補助の方法が異なります。

場合によったら、途中で塾を変える必要もあるでしょう。ですから早い段階で実際の塾をよく知って、子どもに合った塾を選びましょう。