【数列】漸化式がわからない!漸化式を解くってどうゆうこと?

漸化式を超基本から説明します。

先ずは漢字の読み方からです。

漸化式は「ぜんかしき」と読みます。

漸化式の「漸」という字は、物事が徐々に進んでいく様を表しています。

数列の表し方

「数列」とは、その名の通り、数字が並ぶ列ですね。もし、並べ方になんの規則もないのなら、その数列は具体的に数字を並べて表わすしかありません。

しかし、その並べ方に規則があれば、その規則によって特定の数列を表わすことができます。

例えば等差数列を思い出しましょう。

初項が1で公差が2の等差数列は、実際の数字を並べて表わすと次のようになります。

この数列は、初項(第1項)が1、第2項が3、第3項が5、第4項が7、第5項が9ですね。それを示すには以下のようにします。

先頭から何番目であるかは数列を表わす文字(ここでは a )の右下に小さな数字をつけて表します。この小さな数字が先頭からの順番を意味しています。これが具体的な数値を並べて数列を表す方法です。

一般項で数列を表わす

さて、別な数列の表し方として第 n 項を n の式で示す方法があります。一般項ですね。

では、さっきの等差数列を一般項で表わしてみましょう。

等差数列の一般項を求める公式を確認しましょう。次のようなものでした。

これを今回の等差数列に適用します。

これで一般項が求まりました。この n に最初から何番目なのか具体的な数値を代入すれば 、その項の値をダイレクトに求めることができます。最初から n 番目なので、これを第 n 項と呼びます。

等差数列を漸化式で表わす

さて、ここで次のことを確認してください。

つまり次の項は、その前の項に公差を足すことで求められますね。ですから、第 n 項以降も同様に考えることができます。第 n 項のひとつ先が第 n + 1 項、そのまたひとつ先が第 n + 2 項です。

ここで第 n 項と第 n + 1 項だけに着目して下さい。

つまり次の等式が得られます。

これは、第 n+1 項の値は、第 n 項の値に 2 を足すことによって得られることを意味しています。

このように、その前の項から次の項を、ただひとつの規則で示した等式漸化式と言います。特に断りがない限り漸化式は自然数 n について成り立ちます。漸化式を使うことによって特定の数列を表わすことができるのです。

漸化式から並べる表し方に変える

しかし、この漸化式での数列の表し方では、その数列のルールは示してくれても、それぞれの項の値は初項から始めて順々にひとつひとつ求めていくしかありません。

これは、例えばウォーキングをするとき、自宅から歩き始め「信号に出くわしたら右折する」というルールだけを決めて歩き出すようなものです。信号を5回通過したとき、いったい何処にたどり着いているでしょうか?実際にやってみるしかありませんね。

では漸化式で表した具体的な数列について見ていきましょう。

先程の、初項が1で公差が2の等差数列を漸化式で表わすと次のようになります。

このように、漸化式で特定の数列を表す場合には必ず初項をはっきりと示す必要があります。ウォーキングの例なら、出発点を自宅などに決めるようなものです。出発点が異なればゴールが変わってしまうのは当然ですね。

また n には、ふつう自然数が入るので、次のように n に具体的な自然数を入れた式は、特定の2項間の関係を表わしていることになります。

ですから漸化式で表された数列を、数値を並べて表したい場合には、初項から始めて、次の項、そのまた次の項、そのまた次の項、という具合に順番に項を作り出していけばいいのです。というよりそれしか方法がありません。必ず初項から始めなくてはならないのです。途中から始めようとしてもダメです。

ここでもう一度、漸化式の「漸」という文字の意味を思い出してください。

漸化式の「漸」という字は、物事が徐々に進んでいく様を表わしていましたね。確かにそのようになっているのが分かります。

漸化式を使えば、より複雑な数列の規則も式で表わせるようになりますが、漸化式から具体的な項の値を求めるときは、初項から徐々に項の値を積み重ねていくような作業がどうしても必要になります。途中を省略することは絶対に許されません。めんどくさいですね。

たかだか10項程度であれば我慢して計算するかもしれませんが、1000項、10000項となると諦めてしまいますね。

これではその数列の全容を掴んだことにはなりません。

そこで漸化式ではなく一般項で数列を表わし直す必要性が生じてくるのです。

漸化式を解いてみる

なぜならば、一般項が求められたら、その式に何番目という数値を代入すれば、ダイレクトにその項の値が求められるからです。つまり無限に続く数列でも、すべての値を把握したのと同様になるのです。

ですから漸化式を「解く」とは、「漸化式から一般項を導き出す」という意味だったのです。

では実際に漸化式から一般項を求めてみましょう。

漸化式から一般項を求める

簡単な数列ならば、漸化式を見ただけで、その一般項を導き出せる場合があります。次の漸化式で表された数列の一般項は、いったいどのようなものでしょうか?

もちろん初項は2です。そして漸化式を読み取ると、次の項( n+1項 )は、前の項( n項 )に3を掛ければ求まることが分かります。つまり、これは初項が2で公比が3の等比数列ですね。その一般項の求め方は公式になっています。

この公式に初項2、公比3を代入します。

これで一般項が求まりました。このように漸化式で示された数列のルールを式の形から読み取ることで一般項が求められます。

では次の漸化式から数列の決まりを読み取ってください。

一見すると難しく思えますが、次のように式を変形させると決まりがわかるようになります。

この式は階差数列を意味していることに気づいたでしょうか?

右辺の n に自然数を代入すればひとつの値を決定できます。すなわち右辺の式は数列の一般項だと思って構いません。そして左辺は2項間の差の意味です。ですから次の公式が使えます。

途中まで解いてみますね。

この先はシグマの計算をするだけなので省略しますが、シグマの計算は別の記事にまとめているので、そちらも見てみてください。

このように漸化式を少し変形させることでルールが読み取れるようになりました。

この程度ならまだいいのですが、今度は今まで学んだ規則に当てはまらない数列の漸化式が登場します。次の式を見てください。

この漸化式は等差数列と等比数列の両方の性質を含んでいますね。

このままでは既に知っている一般項の公式が使えません。それが使えるように式を変形させる必要があるのです。ではやってみましょう。

次のような式の変形を考えます。

なぜこのように変形させたいのかというと次のように数列を置き換えてみるとわかります。

これならば等比数列の一般項の公式が使えます。では実際に変形させてみましょう。変形したい式の形から元の式の形に戻す作業をします。その式と元の式を比べ て α の値を決定します。

これで α が求まったので、変形させたい式に α を代入します。

式の変形が完成しました。見やすくするために数列を置き換えましょう。

これで公比は3とわかったので、あとは初項さえわかれば一般項が求まります。では初項を求めましょう。

これで初項2と求まりました。では初項が2、公比が3の等比数列の一般項を求めます。

これをもとの数列に戻して式を整理すれば出来上がりです。

まとめ

「漸化式を解く」とは、漸化式から「一般項を導き出す」ことを意味しています。一般項を導き出すためには、数列の規則を漸化式から読み取らなければなりません。そして、その規則を読み取るために、もとの式を変形させる必要があるのです。その式の変形のさせ方を習得していくのが漸化式の勉強の基本となります。