【数学】計算ミスをしない方法

数学は計算がいのちですね。

どのような問題でも計算が含まれている場合がほとんどです。そして、その正解を得るためには、どんなに小さなミスも許されません。

ですからその小さな計算ミスが、結果として受験など大きな人生の転機に重大な影響を及ぼすかもしれないのです。

計算を制する者が人生を制するといったら言い過ぎでしょうか。

ここでは、その計算を間違いなく行うための方法、というよりは心構えを説明していきます。

ミスなく、そして素早く計算ができるようになれば、それだけで試験の得点力は上がります。

それがあなたの目標達成に役立つかもしれません。

計算ミスをしないポイント

計算ミスを無くす最大のポイントは視野の広さ効率化です。

わたしは家庭教師として小学生から高校生、ときには社会人まで、多くの生徒さんを指導してきました。

教える教科も様々ですが、その中でも数学は、わたしが得意としていたので特にその教え方を工夫してきた分野です。

家庭教師として多く生徒さんを指導すると、そのひとりひとりの勉強を間近で観察することができます。

計算が得意な子もそうでない子も、かならず計算ミスをしますから、当然、その子たちの具体的な計算ミスをたくさん見てきました。

実は計算ミスをたくさんする子たちには特徴があります。

それは視野の狭さ効率が悪さです。

計算を上手に行えるようにするには、その視野の狭さと効率の悪さを改善しなければなりません。

計算が苦手とは何か

まず計算が苦手という意味をはっきりさせておきましょう。つぎのような項目が挙げられます。

答えを間違える

当然ですが答えを間違えてしまいます。しかしこれだけでは苦手の理由にはなりません。

なぜなら計算が得意な子だって間違えるからです。

計算が遅い

計算が遅くても必ず正解を導き出せるのであれば、それはそれでいいのですが、実際には計算がおそい子ほど計算ミスしやすい傾向にあります。

ゆっくりと計算すれば間違いにくいように思えますが、計算の苦手な子が解くのが遅いのは、丁寧さにあるのではなくて効率の悪さにあります。

計算の手が止まっているとき、その子は頭の中で暗算しています。そしておもむろに答えだけを書きます。そして間違えるのです。

計算が苦手な子の特徴

いちど習ったやり方にこだわる

計算が苦手な子に対して間違えにくいやり方を教えようとしても、それまでに染み付いている古いやり方を変えられない子がいます。

いったん身についたやり方を変えるには、それまでのやり方よりも新しいやり方の方がいいんだと判断できなければなりません。

しかし計算が苦手な子は新しい技術を習得する手間を嫌います。

工夫をしない

計算をするときには、計算ミスしにくく、少しでも早く解けるやり方を臨機応変に選んで進めるべきですが、計算が苦手な子は、どのような問題に対してもやり方が一直線です。工夫して解こうとはしません。

結果を気にしない

計算が不得意な子が答えを間違えたとき、その原因がただの書き間違えや単純な足し算にあると知ると、そのミスそのものを軽んじて結果を気にしません。まるで正解だったように振る舞います。

できる問題とできない問題の差が激しい

計算が苦手な子は、できる形式の問題ならかなりむずかしい計算でもできてしまうのに、苦手な型式のときは必ず間違えます。とてもムラがあるのです。

計算が苦手な子は調子の悪いときといいときの結果の差が激しく出ます。

集中力があるうちはうまく計算できても、やる気がなくなってしまえば、ひどい間違いを連発します。

計算が得意とは何か

では逆に計算が得意とはどのようなことを言うのでしょうか?

高確率で正解が得られる

計算ミスをまったくしない子なんていないのですが、それでも計算が得意な子は正答する確率が高いのは当然ですね。

自分でミスに気付ける

計算ミスしない子なんていませんが、でも計算が得意な子が高確率で正答を得られる理由は、計算ミスをしないというより、そのミスを自分で発見できる力が強いからといった方がいいかもしれません。

最後に答えを書くまでにミスを見つけて対処すれば、結果として計算は成功したことになります。

計算が得意な子の特徴

計算が早い

計算が得意な子は、たとえ間違ったとしても計算が速いものです。

計算の最中は手が止まりません。見ながら書きながら考えているのがわかります。

計算に工夫がある

計算が得意な子の解答には計算をうまく行うための工夫が見えます。

それにはテクニック的なものもありますが、単純に見やすく書こうと意識するだけでも違ってくるものです。

計算問題には特徴がある

今度は計算自体の特徴を考えておきましょう。

必ず答えがある

数学者が解くような未知なものと違って、高校までの数学の問題には必ずたどり着くべき答があります。

従って、その解法もすでに決まっている場合がほとんどです。

そのため計算式に現れた数字や形そのものに意味を見いだせる場合があります。

それを前もって気づいて解く場合と知らずに解く場合では解く効率に差が出ます。

計算は双方向

計算は一方方向ではありません。

つまり可逆的な変化であるはずです。

上から下に向かって解くばかりでなく、下から上に迫り上がって考えても構いません。

計算はダイナミックに変化する情報の処理

計算を解いていくと、その形が徐々に変化していきます。

その変化が正しく行われているかを逐次チェックしながら、この先どの方向に向かっていけばいいのか、そのときそのときでダイナミックに判断しながら進めていくものが計算です。

いったん覚えた手順のまま計算を進めるのではありません。

計算を正しく行うためには、そのステップごとの状況判断が大切なのです。

これはまるで車を運転するようなものです。

車の運転をするとき、事故なく目的地までたどり着くためには、そのときどきの状況判断が大切です。

そのために必要なのは視野の広さです。

計算の視野が広いとはどうゆうことか

計算も車の運転と同様に、進めて行く途中にはミスしやすい状況がたびたび生まれます。その危険を事前に察知して、それらをうまく回避しながら進めなければなりません。

このように計算が得意になるためには視野を広さが必要です。

その視野を簡単に広げる方法は逆向きの計算です。

方程式を解く場合の具体例

では具体的な例でお話ししましょう。

次のような2次方程式は難なく解けるのではないでしょうか。

因数分解をしてxを求めればいいのですね。

では次のような問題はどうですか?

だいぶ難しくなったように感じますか?

この問題は2次方程式の解のひとつが先に与えられ、それによって元の2次方程式を決定する問題です。

このように見慣れた手順を逆にしたような応用問題は多いものですが、これは逆向きに考える必然性を感じさせるものです。

さてここからは計算ミスが起きやすい例を示し、逆向きに考える効果を実感してください。

展開と因数分解

たとえば式の展開と因数分解を思い出して下さい。

このふたつの関係は計算の方向性が逆なものです。

因数分解を間違いなく行えるのは、因数分解を考えるのと同時に展開したときに式がどうなるのか頭に思い浮かべながら計算しているからです。

次の計算を考えてください。

これはなんでもないですね。では次の例を見てください。

この問題を見たとき、すこし考えてしまったかもしれません。

でも視線の動きを変えて右から左に動かして見てください。するとただの簡単な展開の問題になっているとわかります。

逆を考える効果

問題を解くとき、逆の手順を意識すると、いろいろな効果が得られます。

計算を行う場合、問題が最初にあって、それから答へ向かう手順を考えて行くわけですが、このときにも逆の流れを常に意識していると計算ミスを少なくできます。

これは決して答えが出てから検算することを意味している訳ではありません。ワンステップごとに逆に考えながら計算するのです。

もっと簡単な計算では、例えば、ふたつの数字を掛けたなら、それと同時に割り算も頭の中に思い浮かべておくと良いのです。

計算が得意な人なら順方向の手順と共に逆方向の手順を自然と考えてながら計算をしているのですが、計算が不得意な人は逆の手順を思い描いていません。

一方方向にしか考えを進めることができないと、途中で計算ミスがあっても最後まで気づかないまま突き進んでしまいます。

そして、どこで間違ったのかを確かめるためには、また最初から手順通りに見直す羽目になります。

計算が正しいのであれば、最後から最初へ、下から上に計算を見直すこともできるはずです。

計算が下手な人の解答は、上から下に見ないと、いったい何をやったのか、わかりません。しかし計算が上手にできる人なら、最後から最初に向かって手順を見直しても、しっかりとその流れがつかめるような解答になっています。

計算の効率化

もうひとつ計算を間違いなく行うために必要なのは計算の効率化です。

計算を行うとき、必ず言われるのが「途中の計算も書きなさい」ですね。

視覚的に手順を確認しながら計算を進めたらミスを無くすことができると言うわけです。

でも不必要な手順まで書く必要はありません。

そして書く必要のない手順は極力書かない方がいいのです。

なぜなら書くステップが多くなれば、それだけミスする確率が上がってしまうからです。

大切なのは必要最低限のステップだけを書くようにすることです。

ステップ数を少なくすることが、すなわち計算の効率化です。

そのための方法を考えていきます。

計算を効率よく行うための方法

計算を覚える

掛け算をするとき、九九を使うのは当たり前ですが、この九九を覚えているからこそ計算を効率的におこなえます。

8×7の計算を、8を7回足して求めたりしませんよね。

よく出てくる計算をひとつのユニットとして暗記してしまえば、計算を効率よく行えます。

途中で計算しない

途中に出てくる数値の計算は、その式のまま扱っていった方が効率がいい場合があります。

たとえば途中で39×17という計算が現れたら、その計算は途中では行わず、39×17をあたかもひとつの数値としてそのまま書き写しながら他の数値や式の計算を進めていきます。すると高い確率で13で割ったり、17で割ったりする計算が現れ、途中の無駄な掛け算を省ける場合があります。

計算は視野の広さと効率化

このように計算ミスをしないためには、視野の広さと効率化が大切なのです。

最後にそれをまとめておきます。

計算の視野を広げる方法

  1. 計算を逆からも考えながら行う
  2. 見やすい文字で書く
  3. 立ち止まって考える

計算の効率を上げる方法

  1. 計算を覚える
  2. ステップ数を減らす
  3. 途中の計算をしない