【ベクトル】位置ベクトルを最初からわかりやすく説明します

位置ベクトルをわかりやすく説明します。

ベクトルとは「向き」と「大きさ」で定まる量でしたね。ということは「位置」だけは定まらないので、次の図のように平行移動してピッタリと重なるのなら、それは同じベクトルになります。

位置ベクトル

平面上または空間でひとつの点を固定します。すると任意の点の位置は、その固定した点からの「向き」と距離の「大きさ」で表せるようになります。

例えば、図書館の場所を説明するとき、固定する点を自宅にとって、そこから「北西に3キロメートル」というように「向き」と距離の「大きさ」を測量すれば、目的地である図書館の場所を示すことができます。

向き」と「大きさ」はベクトルで表せますね。ですから定点Oを定めて、その位置にベクトルの矢印の出発点を置けば、矢印の先端が特定の点を示せるわけです。このときのベクトルを「位置ベクトル」と言います。

ところで、位置ベクトルにおける点O はどこに置いても構いません。その時々で都合のよい点を選んでいくことになります。これは次のように考えて下さい。

例えば、図書館の位置を説明するとき、自宅からだと「北西に3キロメートル」でも、基準となる点を駅にとれば、駅からなら「南に5キロメートル」のように、基準とする点によって図書館への向きと距離の大きさが変わりますね。しかし図書館の位置は変わりません。

線分の内分点と外分点の位置ベクトル

内分点と外分点は「図形と方程式」でも学びました。思い出しておきましょう。内分点の公式は次のようなものでした。

もうひとつ、外分点は次のようなものです。

これらの公式では、点の位置を座標で定めていました。位置ベクトルでも点の位置を定めることができるので、内分点と外分点は位置ベクトルを使っても表すことができます。

公式としては次のようなものになります。

よく使うのは内分点を示す位置ベクトルを求める式ですが、これは次のように変形させておくと、ちょっとだけ使いやすくなります。

実際に使ってみましょう。次のような問題を考えてみます。

では解いてみます。内分の比を分数で表し(つまりABの長さを1にする)、それをAとBの位置ベクトルに、たすき掛けのように掛け合わせて足せば、はい、出来上がりです。簡単ですね。

三角形の重心の位置ベクトル

三角形の重心の座標も「図形と方程式」で学びました。

位置ベクトルでも重心の位置を表すことができます。

さて、ここでもう一度位置ベクトルについて確認してほしいことがあります。

位置ベクトルを定めるには特定の点が必要でしたね。そしてその点は、どこに置いても構わないのでした。したがって三角形の頂点の位置を定めるには、その特定の点が必要です。次の図では、三角形の外に点Oを用意して各頂点を示す位置ベクトルを決めています。

すると重心の位置ベクトルは次のようになります。

位置ベクトルを定めるための点Oはどこに置いてもいいので、たとえば次の図のように、点Oの代わりに三角形の頂点Aを利用して位置ベクトルを定めても構いません。

この場合、点Aを指し示す位置ベクトルは零ベクトル(ゼロベクトル)になっている点に注意してください。

問題を解いてみる

では位置ベクトルを使う、次のような問題を解いてみましょう。

図にすると次のようになります。位置ベクトルを使うために点Oを用意しておきます。今回は三角形の外側の適当な位置に置きました。

そして、それぞれの点の位置ベクトルを定めていきます。先ずは三角形ABCに着目します。

図にすると次のようになります。

すると重心の公式により次の式が求まります。

次に三角形LMN に着目して位置ベクトルを定めます。

図にすれば次のようになります。

そしてまた重心の公式を使います。

次に、①の式と②の式を関連付ける式を考えていきましょう。点Lは線分BCの中点なので、次の式が成り立ちます。

点Mと点Nについても同様に考えます。

①から⑤の式をまとめておきます。

では計算です。②の式から始めて③、④、⑤を代入して計算しましょう。すると①の式が求まります。

よって結論です。

ベクトルは、式ができれば後は計算すれば良いのですね。

まとめ

位置ベクトルによって点の位置を定めることができます。そのため位置ベクトルを使えば、図形の証明問題も計算で出来るようになります。