大学入試では英語の成果が合否を大きく左右します。
そしてその英語の試験で大きなウエイトを占めるのが長文の読解です。配点が高いですよね。
ですから合格を勝ち取るには英文読解を避けて通るわけにはいきません。
しかし読むのに時間が掛かり過ぎたり、正解の選択肢が選べなかったり苦労が絶えません。
その理由はいったいどこにあるのでしょうか?
目次
これからの英文の読解練習を無駄にしないで!
英文読解法にはいろいろありますが、それらを始める前に、今の自分が英文の読解に苦労している理由をはっきりとさせる必要があります。
そうでないと、これからの読解練習が無駄になってしまう可能性があるからです。
ここでは英文読解が苦手である理由をはっきりさせ、それを知った上で英文読解の効果的な練習方法を紹介します。
どうして読めないの?その理由を知ろう!
わたしは家庭教師として、ひとりひとりの生徒さんの勉強を間近で観察できる立場にいます。
英読を教えているときにもその観察は欠かしません。
すると英文が読めない生徒さんの特徴が見えてきます。
英語を教えているときに指定した英文を日本語に訳してもらうときがありますが、比較的わかりやすい英文ならスラスラ訳せても、すこしでも構造が複雑になると途端に訳せなくなる生徒さんがいます。
英単語には問題がありません。でも訳させると何かヘンなのです。そのヘンな点まとめてみます。
主語が目的語や補語と入れ替わる
英文を日本語に訳してもらうと、どうやら「て」「に」「を」「は」という助詞がうまく使えていません。
たとえば目的語が主語になってしまっていたりします。
文法を無視している
時制や品詞、修飾と被修飾の関係も乱れています。
まるで英文の通りに読むというよりも自分が読みたいように読んでいるようです。
ない単語を付け足して作文してしまう
どこにも書いてない単語を生み出し、それを使って作文してしまうような読み方をするひともいます。
どうしてそのようになってしまうのでしょうか?
英語ではなく日本語を組み立てている!
実は、そのような生徒さんは、
英単語を日本語にし、その日本語を組み立てている!
のです。
英語を英語の決まりで組み立てようとしていません。
これでは、簡単な英文は訳せても、複雑な英文を訳せるようにはなりません。英語を訳しているのではなく日本語を組み立てているだけなのですから。
これで読解の練習が正しくできます!
英文は英語のルールで組み立てながら読めるようにするべきです。そうしないと読み取りが不確実なままになってしまいます。
英文の構造をしっかり理解して読み進めるようになれば、確実に意味が取れるようになるだけでなく読むスピードも上がります。なぜなら単語を日本語にして組み立てるという余計な手順を踏まなくてよくなるからです。
つまり英語のまま内容を理解できるようになります。
そればかりでなく文法問題や英作文の技術も向上します。
英文法を正しく知る勉強は正しい
日本人が英語を勉強する場合、すでに身についている日本語と英語との関係を無視できません。頭の中から完全に日本語を消し去ってネイティブスピーカーにはなれる訳はないのですから。
じつは英文法を正しく理解することは、すでに日本語を知ってしまっている私たちにとって正しい勉強法なのです。
しかし昨今では英文法を正しく学ぶのに拒否反応を起こす人が多いようです。ひたすら読んでいればそのうち読めるようになると思いたいところですが、残念ながらそうはなりません。
「意味さえ分かればいいのだから、単語が分かれば文法なんて関係ない」
ここまで極端でなくても英文を読む場合に英文法を軽視する傾向があります。
そんなふうに読もうとすると、英文を読んでいるのではなく、英単語を日本語にして、それを適当に意味が通じるようにつなげているだけです。
つまり、このままでは、どこまで行っても英語を英語として読めるようにはなりません。
英語の構造を正しく知り、それに従って読み進めるように努力するべきです。そして英語を英語のまま理解できるようになりましょう。
英語の構造を正しく知れば読む力が自然と上がる
英語の構造を正しく知るには基本的な英文法を正しく知る必要があります。
しかし中学校から始まる文法の学習は、意外なほどその点を見過ごされています。文法の理論的な説明がしっかりとなされているのは稀で、ただその訳し方だけを教わってきているだけではないでしょうか。
たとえば現在完了形を正しく理解しているひとは意外と少ないものです。
「現在完了形を説明して」と生徒さんにお願いすると、その訳し方を話すだけで文法の説明にはなっていません。
思い起こせば私が中学生だった頃にも、現在完了形を文法として正しく教えてもらった記憶がありません。やっぱり訳し方だけを習ったように思います。
英文法は理論立てて説明したほうが理解が深まりますし定着も容易です。
こんなことを言うと、とても難しい説明をしているように思うかもしれませんが、そんなことはありません。私が教えている、それほど英語が得意でない中学生でも、ちゃんと理解できていますし一度それを理解してくれたら格段に英語の理解が進むのが側から見ていても分かります。
英語を日本語に変換できればいいのではなく、英語を英語として理解しようとするべきなのです。
そのために正しく英文法の基本を理解しましょう。
英語の基本の基本を押さえる
英文法を習うとき、品詞と文型から始まります。
なぜここから始まるのかというと、それはもっとも重要であるからです。
ところがその重要度は正しく認識されていないように思います。
この部分は1ヶ月くらいかけてじっくりと理解した方がいいと思いますが、いともサラッと通り過ぎてしまっている印象です。
それでは読解に大切な文法をまとめていきます。
主語と述語
英語は主語を必ず示すのが普通
英語は国際語になっているので最もスタンダードな形式で成り立っている言語のように思われがちですが、実は英語は世界の言語の中のでも特殊な成り立ちをしています。
そのひとつがしつこいほどに主語を示す点です。
他の言語では主語が省略される場合がかなりあるのですが、英語は「主語が命!」と言わんばかりに主語を必ず示すのが通例です。
ちなみに日本語は主語をはっきり示さない方が多いですね。「話していれば主語なんて自然にわかるでしょ」と省略してしまいます。古文の勉強をしたことがあれば知っていると思いますが、元来日本語は「この述語の主語はだれ?」という問題が成り立つほど主語は省略されてしまいます。
英語は主語を必ず示しますが、だからと言って主語がわかりやすい訳ではありません。
たとえば「無生物」だって主語になりますからね。「これが主語なの?」と思えるようなものでも主語になっていたりします。
とにかく英語は主語を明確にしておく必要があります。
主語の見つけ方
英文を最初から読んでいけば「ああ、これが主語だな」とわかる場合がほとんどです。必ず書いてありますからね。しかしそれがあやふやとなるようであれば、主語はとりあえず置いておいて述語を探し当てることです。
普通、ひとつの英文には、ひとつの述語しかありません。
それが見つかれば、それよりも前にある名詞(名詞句や名詞節も含みます)が主語となります。
英文と日本文の読み方の違い
日本語の文は結論が最後になるため、最初はなんとなく読み流していても最も大切な部分は見逃さないで済みます。「ここで終わりだ」と読み終わる直前に結論がありますからね。
ところが英語の文は最初に結論があり、そのあとは付随した情報なので、最初に捕まえた結論を最後まで頭の中にキープしたまま読み進めなければなりません。
読み進めているうちに主語と述語があやふやになってしまうと途端に文の意味が捉えられなくなります。
ですから主語と述語を頭の中でループするようにしながら、その後の修飾語をそれにまとわせるように読み進めていくのが英語の読み方です。
読む練習方法
英文を読む練習をするときは、その文の主語と述語を明らかにすることを常に意識しましょう。
最初は読む練習のために主語と述語にあらかじめ印を付けます。
述語に関しては文型を意識して目的語や補語にも印をつけておく方がわかりやすい場合もあります。
すぐに見つかる場合は構いませんが、一見して見分けられないのであれば日本語訳を参考にして判断します。
例文で確認しましょう。主語は緑のマーカーで、述語は赤のマーカーで示しました。
The man who was interested in the differences in sound effects in concert halls around the world planned a trip to hear the sound with his own ears for several years.
主語と述語がはっきりすれば、こんな悪い文でも見通しがよくなります。本来、英語は主語が長くなるのをきらうので、こんな文は稀ですが、あえて書きました。
これを使って読む練習を進めます。
ある程度練習ができたら、今度は初見の英文を読み進めながら主語と述語がなんであるか自分で判断する練習をします。
その練習ができた後ならスラッシュリーディングで速読の練習をしても構いません。しかしこれができないうちに速読練習をしてしまうと、いくら文に区切りをつけても頭の中で文の内容を英語の文法に従って整理することができません。英単語を日本語にして、その日本語を組み立てるようになってしまうのです。
英語には英語の読み方がある
このように英語の特徴を知って、それにあった読み方の練習をしていけば、読解のスキルの向上するスピードが格段に上がるはずです。