【勉強と照明】積極的に明かりの環境を整えて勉強の効率を上げよう

中高生が勉強する場所でいちばん多いのは自分の部屋だそうです。そして勉強する時間帯としては、やっぱり平日の夜が多いのでしょう。

そうすると必然的に必要になるのは机やテーブル、そして照明ですね。

あなたは勉強するとき、机やテーブルのまわりの明るさについて真剣に考えたことがありますか?

実は、机やテーブルを照らす光の量や質は、集中力、目の疲労、睡眠に大きな影響を与えます。

あなたが勉強の成果に不満を持っているのであれば、それは勉強する場所の照明が原因になっているかもしれませんよ。

明るさと勉強

勉強するときの明かりは、どのような点に注意するべきでしょうか?

私は家庭教師として様々なご家庭を訪問します。すると生徒さんが勉強する環境についても、いろいろと興味深い発見があるものです。

集中力が続かず、いつも居眠りを始める生徒さんの勉強部屋は、入ると暗く感じることが多かったように思います。そして勉強に成果を上げている生徒さんは、明るくて広いリビングなどで勉強をしている場合が多くありました。

このような経験から、勉強と明かりとの関連性は、確かにあるように思います。

「明かり」という環境整備

勉強のための明かりと言えば、まず最初に頭に浮かぶのは机の上を直接照らすデスクライトですね。

また、リビングなどで勉強している人なら、天井からの明かり(シーリングライト)だけを使っているかもしれません。

勉強のための環境のすべてをがらりと変えてしまうのは大変ですが、明かりだけなら比較的簡単に変化をつけられます。もし今使っている明かりに不満があれば、思い切って最新のデスクライトに変えてみてはいかがでしょうでしょうか?

デスクライトの選び方

いまデスクライトの主流はLEDです。ひと昔前までのLEDのデスクライトには、勉強に使うには弱点も多かったのですが、日々改良が重ねられ、今では勉強のためのライトとして最適な照明となりました。

ただ値段が安いもの中には、まだ弱点が目立つものもあるので選ぶときには注意が必要です。

デスクライトを選ぶポイントは次の6点です。

  • 光の色
  • 明るさ
  • 演色性
  • 照明の範囲
  • 照明の均一さ
  • 使いやすさ

ひとつひとつ説明していきます。

光の色

光の色は人間の活動に影響を与えると言われています。一般に日中の白い光は活動的になり夕日の赤みのある色は落ち着きをもたらします。

光の色を示す尺度に「色温度」があります。色温度はケルビン(K)という単位が使われます。これとは別に特定の色温度を示す言葉があって、これが照明器具の購入時の参考になります。

  1. 昼光色(6500K)
  2. 昼白色(5000K)
  3. 白色 (4200K)
  4. 温白色(3500K)
  5. 電球色(3000K)

色温度が高いほど爽やかな印象となり低いと落ち着いた暖かさを感じる光となります。このうち3000Kから5000Kの色温度が勉強や読書には良いとされています。

色温度には、見やすさだけでなく心理的な効果もあります。高機能な照明器具では、この色温度も調整できるものもあり、これをうまく活用すれば気分のコントロールにも利用できるかもしれません。集中力を高めたいときは昼白色にし、休憩時には電球色にするなど、勉強にメリハリを付けられます。

明るさ

一般的に明るければ作業効率は上がります。また逆に暗いと視力の悪化だって心配です。しかし明るければそれで良いとばかりは言えません

光の明るさを示す尺度には、Lm(ルーメン)とLx(ルクス)があります。Lm(ルーメン)は、照明器具から直接出る光の量です。Lx(ルクス)は、光が机や壁などに当たって跳ね返ったときの明るさです。

照明器具を購入するときは、このLm(ルーメン)やLx(ルクス)を参考にすることになりますが、ただ、これらの数値だけでは実際の明るさを決められません。なぜなら光の広がり方や照明器具から机までの距離によって、ノートや本が照らされる明るさが変わってきてしまうからです。照明器具を選ぶときは、これらのことも考慮する必要があります。

そこでデスクライトを選ぶ際に重要になるのは調光機能や高さ調整の範囲の広さです。もちろん本体の光源の明るさが十分確保されていることが前提ですが、実際に使うとき目的に応じて明るさを調整できるデスクライトを選ぶべきです。

安いLEDライトでは光源は明るくても調光機能がなかったり、高さや角度調整が不十分だったりするので望む明るさが得にくい場合があります。高さや明るさの調整機構がしっかりとしたデスクライトを選びましょう。

演色性(Ra)

演色性とは、照明器具の光が当たったときの色が、自然光が当たったときの色と比べて、どの程度再現できているかを表わす指標です。

この指標を表わす数値として平均演色評価数(Ra)が使われます。自然光が当たったときと同じ色が再現できればRa100となります。家庭で使う照明器具ならRa80以上あれば十分なようです。

このRaもLEDの照明器具によく表示されるようになりました。ちなみに一般的な蛍光灯は60Ra程度らしいので質の良いLED照明は色の再現性にも優れています。

演色性が高いと色がはっきりしますから、地図や資料集を見るときにも、とても見やすくなります。

照明の範囲

日本工業規格(JIS)には「LEDスタンドJIS規格」というものがあります。これは勉強や読書に必要な机上照明度の区分のことです。大まかに言うと「A形」は机上の新聞見開きサイズを十分に明るく照らしてくれるものです。「AA形」は「A形」よりもさらに広い範囲を明るく照らしてくれます。

勉強するときは、教科書やノート、問題集などを机の上いっぱいに広げますね。そのすべてを明るく照らしてくれなければ、視線を移すだけで明暗の差を感じてしまって目が疲れてしまいます。広い範囲を明るく照らしてくれるライトが必要です。

実は一般的な家電販売店で売られているデスクライトでは「AA形」や「A形」でも広い机いっぱいを均一な光で照らすのはたいへんです。どうしても机の中央と端で明かりにムラができてしまいます。できれば作業用のシェード幅が広いデスクライトを使うのが理想的です。

照明の均一さ

ひと昔前のLEDライトでは、書いているとき、くっきりとした鉛筆などの影が複数現れて、目の疲れの原因になっていました。これを多重影といいます。多重影が出ないように対策がちゃんと施されたLEDライトを選びましょう。

使いやすさ

デスクライトを使うとき、ライトのサイズ、机の広さや形状によって設置方法が異なってきます。

デスクライトには、重い台座があるスタンド式と机の面の端に挟んで固定するクランプ式があります。

机が広かったり、テーブルを勉強机に流用する場合は移動性の良いスタンド式がいいでしょう。また机が狭ければクランプ式を使って机上を広く使うことができます。シェード幅が広く大型なライトになればスタンド式で支えるのが難しくなるのでクランプ式になるのが普通です。

また毎日使うものなので、スイッチの操作感やアームの動かしやすさも重要です。家電量販店などで実際の商品を確認しましょう。

おすすめの選びかた

以上の点を考慮すると、デスクライトを購入する場合は、一般的なデスクライトよりも、いわゆる「学習ライト」と特化した商品を選ぶと良いと思います。その方がここまで述べてきた勉強のための重要なポイントをしっかりと押さえてある商品が見つけやすいからです。ただ、そのような高機能なライトは一般に市販されているデスクライトの中でも比較的高価である場合が多いのですが、小中高と長期に渡って使うこと、そして目の健康や学習効果を考えれば、少しくらい高価であってもよいデスクライトを選ぶ投資価値は高いと思います。

勉強する場所と明かり

ふつう自宅で勉強する場合、自分の部屋を使う人が多いと思います。中高生であれば自分の部屋イコール勉強部屋でしょうが、もちろんその部屋は、勉強するだけの目的で使っている訳ではありません。

机の横にはベッドがありますし、本棚には教科書や参考書以外にもコミックや雑誌が入っているのでしょう。壁には大好きなアイドルのポスターが貼ってあって、もしかしたら机上にゲーム用のモニターを鎮座させているかもしれません。

このように自分の机の周りには集中力を邪魔してくるものが多くあります。目から入ってきた情報は、ちらりと見ただけでも頭を使ってしまいます。

これらの誘惑に負けないためには気持ちを乱すものを視界の中に入れないことです。そのための照明を考えましょう。

集中力を高めるために、天井からのライトは消して周りを暗くし、デスクライトだけを使って勉強する人がいます。そうすれば壁や本棚が暗いシルエットの中に沈んで気が散らなくなるからです。

しかし、これは目の健康の面から考えるとおすすめできません。明暗が強くなり過ぎるため目が疲れやすくなるからです。デスクライトを使うときは、部屋全体を明るくするシーリングライトの併用をおすすめします。それでもデスクライトの光で机上の方が明るくなるので勉強の集中力は高まります。

視界から余分な情報を消す

もっと徹底して視界からの余分な情報をカットするための工夫をしてもいいかもしれません。例えば机のまわりだけカーテンを吊るしたり、移動可能なパーテーションを利用するのです。

または勉強のときだけリビングなど他の部屋を利用するのもいいでしょう。それも出来るだけ広い部屋の中央でなら申し分はありません。なぜなら勉強に集中しているときは手元にだけ視線が集中するので周りがぼやけて気にならなくなるからです。

シーリングライトだけの場合

しかし、そのような部屋だと、明かりはシーリングライトだけになってしまうかもしれませんね。そのときは、できるだけシーリングライトの下の明るい場所を選びましょう。シーリングライトが十分明るければ、広範囲を均一な光で照らしてくれます。ただし手元の影の影響が少なくなる角度を選びましょう。

私が教えに行くご家庭では、自分の部屋ではなく広い別な部屋で勉強する人が多いですし、実際そのような子は勉強が捗るようです。それは、教科書や参考書、ノートや資料集をテーブルいっぱいに広げられるからかもしれません。一般的にテーブルは勉強机よりも広いですからね。シーリングライトは、部屋全体を照らしてくれるので、テーブルいっぱい広げたものだって均一に照してくれます。明かりは、明るければそれに越したことはないのですが、広い範囲を均一に照らすことが明るさと共に重要なようです。

まとめ

明かりを上手く利用することで勉強の効率を上げることができます。明るければ集中力が上がりますし、広い範囲を照らせば効率が上がります。明かりという環境を積極的に工夫して勉強の成果を上げましょう。