【共通テスト】必要条件と十分条件の問題を手軽に解いてしまおう!

共通テストで必ず出題される命題、その中でも不得意になりがちな必要十分条件の問題の攻略法を説明していきます。

この方法で解けば、たとえ試験直前であってもコツをつかむことができ、確実に得点できるようになります。

命題とは何か

では命題の基本から確認していきましょう。命題の定義は次のようなものです。

この「明確に」と言うところがとても大切です。⭕️ か❌ かの判定しかなく、曖昧なものは許さないのです。「白か黒かはっきりしろ」ということですね。

次の例を見てください。

A は明確に正しいと判断できるので命題です。B は人によって正誤の判断が分かれてしまうので命題ではありません。

正しいか誤りかは、数学では次のように表現します。

「人間ならば哺乳類である」のような簡単な命題ならば、その真偽の判定はそれほど難しくありませんが、これが数式の命題となると見慣れないうちは判断に困る場合があります。次の例を見てください。

これは一見正しいように感じます。でも違うようにも思えます。少し混乱してしまいますね。

その原因は、この命題が数学の言葉、つまり数式で表現されているからです。

数学の言葉である数式は、誰にでも同じ結果をもたらすものでなければなりません。数式は曖昧さを許さず、とても厳格なのです。

ですから厳格に読み取れば、上記の命題がはっきりと間違いだと判定できます。

2乗して4になる実数は2だけではなく ー2 もあります。上記の命題で「2である」とは「2だけであってその他はない」という厳格な意味であると読み取らなければなりません。

このように厳格に命題を読み取れば正誤の判断がはっきりできます。

命題の真偽を集合関係で判断する

真偽の判定では集合関係を使う方法が有効です。次の命題を見てください。

さて、この命題は「真」でしょうか?それとも「偽」でしょうか?

これは簡単なので、すぐに「真」とすぐに判定できたかもしれません。では、なぜそう言えるのでしょうか?これを明らかにするには集合を考えます。

全体集合を「10以下の自然数」として「3の倍数」と「5の倍数」を集合で表します。

「5の倍数でない」は下の図で斜線をひいた部分ですね。

この斜線で示した領域の中に「3の倍数」がスッポリと含まれています。このように命題の「〜ならば」の条件 p が「〜である」の条件 q の中に完全に含まれてしまうとき、「 p ならば q である」という命題は「真」になります。全く同じ集合になるときも「真」です。

必要条件と十分条件

では必要条件と十分条件について考えていきましょう。定義は次のようになります。

実際の問題の解き方を説明していきます。つぎの問題を考えてみてください。

この命題から条件を抽出します。「〜は」の部分と「〜であるための」の部分が条件です。

そして図のように反対向きの矢印をふたつ上下に並べ、上を「十分」の矢印、下を「必要」の矢印と名付けます。

抽出した条件 p を左側に、条件 q を右側に配置します。

それぞれの矢印に従って命題の真偽を考えます。

先ずは「十分」の矢印からです。「正三角形は二等辺三角形である」という命題は「真」か「偽」かを考えます。

正三角形の定義は「3辺の長さが等しい三角形」なので、もはや2辺も等しくなります。よって「正三角形は二等辺三角形である」という命題は「真」になります。十分の矢印にマルをつけましょう。

ここで勘違いしやすいのは、正三角形と二等辺三角形が違う三角形だと思って、

「3辺が等しいのは正三角形だから二等辺三角形ではないんじゃないの?」

と考えてしまうときです。

正三角形の定義は「3辺が等しい三角形」で、二等辺三角形の定義は「2辺が等しい三角形」なので、「3辺が等しければ、当然2辺は等しい」と考えるのです。大は小をかねるのですね。

今度は「必要」の矢印です。

「二等辺三角形は正三角形である」という命題は「真」か「偽」かを考えます。

二等辺三角形は、2辺さえ等しければいいので3辺が同じ長さとは限りません。よってこの命題は「偽」となります。必要の矢印にバツをつけましょう。

よって答えは、マルが付いたもので

となります。

集合関係から考えると以下の図のようになります。

正三角形が二等辺三角形に含まれていますね。ですから正三角形ならば二等辺三角形と言えるのです。

必要条件と十分条件の問題を解いてみよう!

ここからは実際に共通テストに出されやすい形式の問題を考えてみます。

つぎの問題を見てください。

では解いていきましょう。十分と必要の矢印を書き、「〜は」にあたる条件を左側、「〜であるための」にあたる条件を右側に書きます。

では先ず十分の矢印からです。「p ならば q である」という命題の真偽を判定します。あらためて命題にしておきますね。

n が奇数なら、 5n も奇数になります。したがって奇数と奇数を足せば偶数になるので、m + 5n は偶数になります。

よって、この命題は「真」となります。十分の矢印にマルをつけましょう。

次は必要の矢印です。「 q ならば pである」という命題の真偽を考えます。具体的に書けば次の命題になります。

これは考えにくかったかもしれません。考えやすくするために次の表を見てください。

これを見ると、m + 5n が偶数の場合、m と n はともに奇数の場合だけではなく、m と n がともに偶数のときもあるので、「 q ならば pである」という命題は「偽」となります。

よって p は q であるための十分条件となり、答えは 3 です。

まとめ

命題の問題は、苦手になりやすいですが、コツさえつかめば確実に解けます。

共通テストの攻略は、確実に解ける問題を増やし、それをスピーディーに処理できるかにかかっています。命題の問題は絶対に解けるようにしてしまいましょう。